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が赤くなっているのが
2023年09月04日
が赤くなっているのがみてとれる。
「蝦夷くんだりまでいってか?馬鹿馬鹿しい。会津で適当に戦い、そこで新撰組は解散すりゃいい。だれもなにもいわぬさ。どうせ旗本やら幕府の連中は、のことをごろつき程度にしか思っちゃいないんだ。かような連中のまで、護ってやる必要があるか?新撰組を解散すりゃぁ、隊士のなかには戦場に残るやつもいるであろう。そうなったら、そいつらのはそいつらの勝手だ。それ以上護る必要はない。あんたこそ、時期をみはからって丹波にゆくべきだ」
永倉の説得をききながら、おれは自分の思いちがいを恥じた。
副長の『を護りたい』というのは、新撰組を含めた味方のだったんだ。
それを見抜いた永倉と原田は、
https://note.com/ayumu6567/n/n6869823d277a https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/08/22/172129?_gl=1*rzzyzf*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post500814969// やはりすごいと思う。
誠の仲間、誠の友とは、口でなんと取り繕おうが、その心の底にあることはわかってしまうんだ。
「そうだな・・・・・・」
副長は、口角をあげた。それがまた、皮肉っぽいというかさみしげっていうか、色気があってドキリとしてしまう。
ふと相棒をみると、あいかわらずきき耳を立てている。そのは、じっと副長をみていて、それがまたなんとも切ない感じがする。
「矜持を護りたいとか、意地や信念を貫きたいってわけじゃない。もともと、そんなもんはもちあわせてはいないからな。だが、ここまできたら、いくところまでいってみたい。たとえ、いきつくさきが地獄であろうとな。かっちゃんが死んでから、餓鬼みたいにかようなくだらぬことを望んでしまっている」
「土方さん、死地を求めているのか?あんたらしくないって気もするし、あんたらしいって気もするな」
「左之、かようなカッコいいものではない。だが、そうだな・・・・・・」
副長は、掌を伸ばすと徳利をもちあげた。は、すらりとしていてとってもきれいである。剣術など、それどころか刀や木刀すら握ったことがなさそうなほど美しい。
副長は無言のまま、もちあげた徳利を永倉の杯にかたむけた。
「たしかに、おれの望みに付き合わせるのは、あいつらだけじゃなく、だれにとっても理不尽以外のなにものでもないな」
「それはちがいます、副長」
「ちがいますよ、副長」
島田とおれの全力否定がかぶってしまった。
「たとえ死地であろうと地獄であろうと、わたしはあなたについてゆきたい。すくなくとも、そう願っております。否。なにがなんでも、かならずやそういたします」
「おれもです。それ以外にかんがえられません。利三郎、おまえもだよな?」
狸寝入りしているであろう野村に尋ねると、かれはこちらに背を向けたまま、上になっているほうの左掌をあげた。ひらひらと、左掌が揺らめく。
同意しているものと、とっておく。
「ほかの隊士たちもおなじですよ。沢さんと久吉さんだって、そうだったでしょう?」
このまえ、沢と久吉は『「新撰組」こそが家族だ』、といっていた。
おれもそうである。が自分の居場所なのだ。
隊士たちのなかには、でしかすごせないという者もすくなくないはず。
「くそっ。おれだっておなじだ」
「ああ、おれもな」
永倉と原田が、口惜しそうにつぶやく。
「主計っ!」
永倉は、おれがまたウジウジ思い悩むであろうことを推察した。
ゆえに、おれを一喝したわけであろう。
それは兎も角、二人ともいっしょにくればいい。声を大にして、そういいたい衝動にかられた。
しかし、原田は死ぬ運命を背負っている。その予定地である上野を避けたとしても、そのものに身を投じていれば、なにがおこるかわからない。それだと、なんにもならない。
そして、永倉は生き残ることがわかっている。が、逆の発想で、居場所をかえることで死んでしまうかもしれない。
靖兵隊にいるからこそ、かれは助かるのかもしれないのだから。
いずれにしても、新撰組に戻ってくることは、歴史をかえてしまう。いいや、正直そんなリスクはどうでもいい。それよりも、かれら自身の命運を左右することになるかもしれない、ということのほうが重要である。
かれら自身、それは重々承知している。
しかし、心情はなかなかそうもいかない。
「新八、左之。おまえらのお蔭で、おれも気づかされた。おれのゆくさきが、仲間たちのそれであるとはかぎらぬ。なかには、ちがうゆきさきをめざす者、元きた道をひきかえしたい者もいるであろう。会津で合流したら、あらためてみなに進退を問うてみることにする。自身のそれもふくめてな」
副長は、自分にいいきかせるかのように一語一語丁寧につむぎだしてゆく。
無意識なのであろう。徳利をもちあげ、ムダに振っている。
チャポンチャポンという音は、酒があとわずかなことを示している。
「会津には世話になった。には、忠義を貫かねばならぬ。そうしなきゃ、かっちゃんも死んでも死にきれぬであろう」
永倉と原田は、無言でうなずく。
会津侯
「蝦夷くんだりまでいってか?馬鹿馬鹿しい。会津で適当に戦い、そこで新撰組は解散すりゃいい。だれもなにもいわぬさ。どうせ旗本やら幕府の連中は、のことをごろつき程度にしか思っちゃいないんだ。かような連中のまで、護ってやる必要があるか?新撰組を解散すりゃぁ、隊士のなかには戦場に残るやつもいるであろう。そうなったら、そいつらのはそいつらの勝手だ。それ以上護る必要はない。あんたこそ、時期をみはからって丹波にゆくべきだ」
永倉の説得をききながら、おれは自分の思いちがいを恥じた。
副長の『を護りたい』というのは、新撰組を含めた味方のだったんだ。
それを見抜いた永倉と原田は、
https://note.com/ayumu6567/n/n6869823d277a https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/08/22/172129?_gl=1*rzzyzf*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post500814969// やはりすごいと思う。
誠の仲間、誠の友とは、口でなんと取り繕おうが、その心の底にあることはわかってしまうんだ。
「そうだな・・・・・・」
副長は、口角をあげた。それがまた、皮肉っぽいというかさみしげっていうか、色気があってドキリとしてしまう。
ふと相棒をみると、あいかわらずきき耳を立てている。そのは、じっと副長をみていて、それがまたなんとも切ない感じがする。
「矜持を護りたいとか、意地や信念を貫きたいってわけじゃない。もともと、そんなもんはもちあわせてはいないからな。だが、ここまできたら、いくところまでいってみたい。たとえ、いきつくさきが地獄であろうとな。かっちゃんが死んでから、餓鬼みたいにかようなくだらぬことを望んでしまっている」
「土方さん、死地を求めているのか?あんたらしくないって気もするし、あんたらしいって気もするな」
「左之、かようなカッコいいものではない。だが、そうだな・・・・・・」
副長は、掌を伸ばすと徳利をもちあげた。は、すらりとしていてとってもきれいである。剣術など、それどころか刀や木刀すら握ったことがなさそうなほど美しい。
副長は無言のまま、もちあげた徳利を永倉の杯にかたむけた。
「たしかに、おれの望みに付き合わせるのは、あいつらだけじゃなく、だれにとっても理不尽以外のなにものでもないな」
「それはちがいます、副長」
「ちがいますよ、副長」
島田とおれの全力否定がかぶってしまった。
「たとえ死地であろうと地獄であろうと、わたしはあなたについてゆきたい。すくなくとも、そう願っております。否。なにがなんでも、かならずやそういたします」
「おれもです。それ以外にかんがえられません。利三郎、おまえもだよな?」
狸寝入りしているであろう野村に尋ねると、かれはこちらに背を向けたまま、上になっているほうの左掌をあげた。ひらひらと、左掌が揺らめく。
同意しているものと、とっておく。
「ほかの隊士たちもおなじですよ。沢さんと久吉さんだって、そうだったでしょう?」
このまえ、沢と久吉は『「新撰組」こそが家族だ』、といっていた。
おれもそうである。が自分の居場所なのだ。
隊士たちのなかには、でしかすごせないという者もすくなくないはず。
「くそっ。おれだっておなじだ」
「ああ、おれもな」
永倉と原田が、口惜しそうにつぶやく。
「主計っ!」
永倉は、おれがまたウジウジ思い悩むであろうことを推察した。
ゆえに、おれを一喝したわけであろう。
それは兎も角、二人ともいっしょにくればいい。声を大にして、そういいたい衝動にかられた。
しかし、原田は死ぬ運命を背負っている。その予定地である上野を避けたとしても、そのものに身を投じていれば、なにがおこるかわからない。それだと、なんにもならない。
そして、永倉は生き残ることがわかっている。が、逆の発想で、居場所をかえることで死んでしまうかもしれない。
靖兵隊にいるからこそ、かれは助かるのかもしれないのだから。
いずれにしても、新撰組に戻ってくることは、歴史をかえてしまう。いいや、正直そんなリスクはどうでもいい。それよりも、かれら自身の命運を左右することになるかもしれない、ということのほうが重要である。
かれら自身、それは重々承知している。
しかし、心情はなかなかそうもいかない。
「新八、左之。おまえらのお蔭で、おれも気づかされた。おれのゆくさきが、仲間たちのそれであるとはかぎらぬ。なかには、ちがうゆきさきをめざす者、元きた道をひきかえしたい者もいるであろう。会津で合流したら、あらためてみなに進退を問うてみることにする。自身のそれもふくめてな」
副長は、自分にいいきかせるかのように一語一語丁寧につむぎだしてゆく。
無意識なのであろう。徳利をもちあげ、ムダに振っている。
チャポンチャポンという音は、酒があとわずかなことを示している。
「会津には世話になった。には、忠義を貫かねばならぬ。そうしなきゃ、かっちゃんも死んでも死にきれぬであろう」
永倉と原田は、無言でうなずく。
会津侯
Posted by Alicia McKenzie at 21:41│Comments(0)